どこの国にもそれぞれ、昔から受け継がれてきた食文化があります。その食材のなかには、単にエネルギー源として優秀なだけでなく、心身の養生に役立つものが存在します。
最近はそうした食材が、改めて「ORAC(活性酸素吸収能力)」という新しい評価法で注目を浴びています。本書で紹介する「アサイー」はその代表です。
まさに医食同源(薬食同源)というわけで、各国の養生食を日本の食文化にうまく取り入れ、予防医学に役立てていくことが、私の目指すところでもあります。
現代医学はこれまでもっぱら「治療医学」に邁進してきました。治療医学というのは、すでに病気になっている人の心身を、化学薬品を使って治す医学のことです。
一方、健康な人を対象に、病気の危険因子を身の周りから遠ざけるように指導したり、からだにいい食事を勧めたりして、病気になるのを未然に防ぐのが「予防医学」です。
私は長年にわたって予防医学に役立つ食材、すなわち「ヘルスフード」の研究を続けてきました。ヘルスフードのなかには、一般の食品だけでなく、サプリメントも含まれます。いずれの場合も、次の3つの要素を兼ね備えていることを条件としています。「エビデンス」…有効性が科学的に証明されている。「安全性」…できれば食経験があること。「メカニズム」…効果のしくみが解明されている。
アサイーは、原産地の南米アマゾンで、昔から日常的に食べられてきたフルーツの1つです。したがって、食品としての安全性は確立されており、長く食べ続けることを前提とした予防医学の素材としては最適です。
また、アサイーには多くの有効成分および栄養成分が含まれていて、効果のしくみについてもかなりわかっています。アサイーを実際に食べたときの効果はその食経験からよく実感されていますが、日本で認知され始めて間もないこともあり、まだ十分には科学的には証明(エビデンス)されていないところもあります。
しかし、いまや世界のトップアスリートやモデル、ハリウッドスターなどが自ら飲食して疲労回復効果などを実感し、スーパーフルーツとして一躍脚光を浴びた食品ですから、エビデンスについてもまもなく立証されるのは間違いないでしょう。
本書では、すでにアメリカで爆発的な人気を誇っているアサイーの効用について紹介します。その内容が、1人でも多くの人の健康管理に役立つことを心より願っております。
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