カルシウムが骨・血管・神経を強くする
あなたの骨は大丈夫ですか
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数十年前のテレビコマーシャルに「タンパク質が足りないよ」というものがありました。
しかし、食生活が豊かになった現在、私たちには「カルシウムが足りない」のです。
健康を維持し、活動的な生活を営むために必要な栄養素には、炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルがあります。カルシウムはミネラルのなかの重要な一つですが、先に挙げた栄養素の中で、所要量(一日当たりの目標摂取量)を満たしていないのはカルシウムだけなのです。
ご存じのように、カルシウムは骨の主成分としてそれを丈夫に保つ働きがあります。カルシウムが不足すると、“骨粗鬆症”といって骨のカルシウムが抜け出しスカスカになり、変形したり、少しのショックで折れやすくなってしまう病気になります。
さらにそのために寝たきりになれば、脳の活動が低下するためボケの原因にもなります。
そのほか、カルシウムは体内でいろいろと重要な働きをしていますので、カルシウム不足は、動脈硬化や高血圧などの成人病を招くことにもなります。
このように、私たちの健康にとってカルシウムは欠かせない成分です。そのカルシウムについて、より正しい知識を得られ、不足なく摂取していただければと思い本書を著しました。
カルシウムが私たちの体のなかでどういう働きをするのか、カルシウムが不足すると具体的にどのような弊害が起こるのか、そして、その弊害を防ぐ(カルシウム不足にならない)ための食生活についても、わかりやすく説明してあります。
この小冊子が、カルシウムに対する理解とみなさんの健康に役立てていただければ幸いです。
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■ 江澤郁子(えざわ いくこ) ■
医学博士
1934年東京都生まれ。日本女子大学大学院家政学研究科修了。現在、日本女子大学家政学部教授。骨粗鬆症モデルラット及び大腿骨破断測定装置を開発。カルシウム代謝に関する種々の研究と成果で、87年に日本家政学会賞受賞。「新病態栄養学双書―歯・骨―」(第一出版)「骨粗鬆症―基礎と臨床」(協和企画通信出版)、「今からでも治る妨げる骨粗鬆症」(農文協)などの他、著書、論文多数。
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