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■ ミニ健康書籍 ふるさと文庫 ■


牡蠣(カキ)喰う人は病気が少ない


栄養満点・海のミルク

 

カキはおいしいだけじゃない

牡蠣(カキ)喰う人は病気が少ない

 カキ(牡蠣)は栄養素の宝庫です。必須アミノ酸八種をそなえる良質のタンパク質、豊富なビタミン群とミネラル分など、わたしたちが生きていくうえで欠かせない成分が、バランスよく含まれています。
 海は母なり──とよくいわれますが、その海の有効成分を丸ごと凝縮して身肉に抱えこんだカキは、わたしたちにとって母乳のごとき栄養価値をそなえた食品といってよいでしょう。
 東洋医学では、カキの薬効はすでに二〇〇〇年以上も前から注目し、さまざまな疾患の治療薬として使われてきました。民間レベルでも、かなり昔から、カキの強壮作用や婦人病への有効性などについて、口コミで広く知れわたっていたようです。
 一方、食物の効用を軽視しがちな西洋医学の見地でも、カキの効能は戦前から認められていました。ストレプトマイシン(抗生物質の一つ)が開発されるまで、結核の特効薬としてカキが利用されていたことは、ご存じの方も多いでしょう。そのほか、貧血や夜尿症、肝臓病の治療食にも用いられてきました。
 本著では、そうしたカキの有効性を、最新の研究データに基づきながら、化学的に解き明かしていきます。
 カキが世界中で愛食され続けてきた理由のひとつは、もちろんカキの「おいしさ」にあります。それに加えて「体に良い食品」でもあるということを、個々人が自分の体で実感してきた側面も大きく影響しているでしょう。
 たとえば、カキを好んで食べたとされるシーザーやビスマルクなど英雄たちの、カキ食に対する執着ぶりがそれを物語っています。
 本文で後述しますが、カキを一度に一〇〇個以上食べたとか、カキを手に入れるために戦争を仕掛けたとか、たかが「おいしい」だけの食べ物なら、これほど熱を上げるはずがありません。
 そこには「おいしさ」以上のプラスαがあったわけです。
 みなさんの中にも、カキのプラスαをすでに実体験した方が多いでしょう。今さら「カキが精力アップに効く」といっても、驚く人はいないかもしれません。ですが、カキの有効性は実感済みとしても、なぜその有効性が得られるのかを知ることは重要です。
 この本を読んでカキ食の効能のメカニズムを知り、ますますカキを好きになっていただければ幸いに思います。

 

監修者

 荒川好満(あらかわ よしみつ) 

 

理学博士
1932年福岡県生まれ。1955年東京水産大学卒業。広島県営島水族館、同水産試験場、水産漁港課などに勤務。海洋生物に関する研究を続ける。活動は国内にとどまらず、海外でも海面養殖の調査や牡蠣養殖の研究指導等にあたり、論文多数。著書に「牡蠣−その知識と調理の実際」(柴田書店)「決定版貝類図鑑」(世界文化社)などがある。日本貝類学会評議員・編集委員、世界水産増殖学会会員のほか、欧米各地の国際学会の会員であり、現在、海洋動物学研究所長。

 

 

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