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■ ミニ健康書籍 ふるさと文庫 ■


ガンを抑制するイカ墨の謎


烏賊の「ムコ多糖−ペプチド複合体」にみる抗腫瘍作用

 

イカ墨をもっと生かしたい

ガンを抑制するイカ墨の謎

 最近、イカ墨を利用したパンやお菓子などの食品が店頭で多く見られるようになりました。今まで限られた食品でしかなかったイカ墨食品がなぜこのように流行したのかについては、多くの意見があると思われます。
 しかし、平成2年にわたくしたちが「イカ墨に抗腫瘍作用がある物質が含まれる」ということを各種学会で発表し、その後テレビ、新聞および雑誌に取り上げられ、また各方面からの問い合わせも多数あり、藁にもすがるガン患者の気持ちが強く伝わってまいりました。
 わたくしたちは直接ガン患者と向き合って仕事をしているわけではありませんが、「ガン克服の願い」はただ単に治療に関わっているお医者さんだけの願いではなく、ガン患者および健康に生活する人を含めてすべての人の願いであることを強く感じました。
 イカ墨の効能については、8世紀頃に中国でまとめられた『本草拾遺』に“主血刺心痛”とあり、「血液によく心臓の動悸や痛みを和らげる効果」があることや、そのほか「婦人の子宮出血にたいへん効果がある」こと、またどのようにイカ墨を服用すべきか等、かなり古くから治療に実際使われていたことが記載されております。
 近年「食と健康」という観点から、日常の食品の摂り方、その成分および機能等が、「ガン予防」とか「発ガン抑制」に生かせるのではないかといった観点からの研究が再び注目されるようになりました。
 この小冊子は、わたくしたちがこれまで8年間「イカ墨について行なってきた研究やその背景」を、一般の人にもできるだけわかるように書いたものです。
 「ガンは誰が治してもよい」というのが共同研究者である、弘前大学・佐々木甚一先生の口癖です。ガンで苦しんでおられる患者の福音となるように、イカ墨食品も仲間入りしたいものです。

 

著者

 松江 一(まつえ はじめ) 

 

理学博士
1946年青森県生まれ。北海道大学大学院理学研究科修了。カナダブリティッシュコロンビア大学留学。弘前大学医学部第一生化学助教授を経て、1989年より青森県産業技術開発センター開発部長。天然物有機合成化学・生化学を専攻。「含臭素八員環エーテルローレンシンの全合成」「2−アシルインドールアルカロイドの全合成」「尿中糖蛋白質の研究」「抗潰瘍ペクチンオリゴ糖の研究」「抗腫瘍活性ホタテグリコーゲンの研究」などがある。

 

 

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