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厚生省の平成7年の人口統計によりますと、日本人の平均寿命は女性82.84歳、男性76.36歳となっています。平成6年に比較すると阪神大震災やインフルエンザの流行が影響して、女性で0.14歳、男性で0.21歳低下しているものの、依然日本人は「長寿世界一」の座を維持しています。
平成7年の「死因別死亡割合」によると、男性では「がん」が28.36%で一番多く、次いで「脳血管障害」が15.29%、「心血管疾患」が14.61%となっています。また女性では「脳血管疾患」が19.66%、「がん」が18.76 % 「心血管疾患」17.63%となっていて、成人病(生活習慣病)といわれる病気が増加の一途を辿っています。
このため、国はこれら成人病の予防対策に力を入れ、その施策を“治療医学”から“予防医学”へと重点を移しています。
昭和 年(1988年)、厚生省は「機能性食品」の概念をうちだし、平成2年(1990年) 月には「機能性食品」に相当するものを「特定保健用食品」として制度化しました。これは、食品のからだに対する効果的な機能として、従来の二つの機能、すなわち「栄養機能」(生命の維持機能)と「感覚機能」(味覚応答機能)のほかに、第三の機能として「生体調節機能」のあることを認めたことによります。つまり、これまで漠然と“食効”といわれていたもののうち、科学的な根拠に基づいて有効性が確認されたものを健康づくりに積極的に利用していこうということから、厚生省として正式に認可することにしたのです。
生体調節機能としては、食品中の有害物質を中和解毒する作用や、人のいろいろな体調機能の調節、健康増進に働く作用など、いわば人の高次の生命活動に対する調節機能といえるものです。たとえば、免疫力の強化(NK細胞の活性化、マクロファージの活性化、リンパ球の活性化など)、病気の予防と回復(高血圧、糖尿病予防など)、体内リズムの調節(自律神経のバランス、ホルモン分泌の調整など)、老化の抑制(活性酸素の除去、アポトーシス*)などがあげられます。[*遺伝的にプログラムされた生理的な細胞死のこと。これが個体を守っているが、老化の原因にもなっていると推定されている]
ところで近年、腸内フローラ(細菌叢)の研究が急速に進展し、腸内フローラが宿主、つまり私たちの健康にも疾病にも密接に関係していることが明らかとなりました。ビフィズス菌のような腸内有用菌を増やし、クロストリジウムなどの腸内有害菌を抑制することによって、癌を始めとする成人病を予防するという考え方に基づいた「機能性食品」が次々と開発されるようになったのです。
これまでに認可された「特定保健食品」は80数品目ありますが、実に51品目が“おなかの調子をととのえる”、いわば腸内フローラを改善することによって健康の維持・増進に役立つもので、そのうち39品目がオリゴ糖関係です。オリゴ糖の生体調節機能は、実は腸内細菌の中の善玉菌であるビフィズス菌のエサとなってビフィズス菌を増やし、その結果便秘をはじめいろいろな病気の予防や老化の抑制など、健康の維持・増進に役立つものなのです。
そこで、この本では、まず腸内細菌はどんなもので、健康とどんな関わり合いがあるかについて述べ、オリゴ糖は腸内細菌にどのように働き、どんなに健康によいのか、さらに、腸をきれいにして健康・長寿を全うするにはどうしたらよいかについて書いてみました。皆さんのこれからの健康管理に役立てていただければ幸いです。
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■ 光岡 知足(みつおか ともたり) ■
薬学博士
1930年千葉県生まれ。53年東京大学農学部獣医学科卒業。58年同大学院博士課程修了、農学博士。理化学研究所入所。64〜66年ベルリン自由大学に留学。1970年理化学研究所主任研究員。76年日本農学賞並びに読売農学賞受賞。82年東京大学教授。88年日本学士院賞受賞。90年日本獣医畜産大学教授。現在東京大学名誉教授、理化学研究所名誉研究員。主な著書に「腸内細菌の話」(岩波新書)、「大豆オリゴ糖」(千曲出版社)、「腸内クリーニングの驚異」(詳伝社)などがある。
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健康食品名 | マカ、コエンザイム、コラーゲン、グルコサミン… |
病名、症状 | 糖尿病、アレルギー、うつ病、動脈硬化、リウマチ… |
目的 | 美容、精力増強、疲労回復、頭を良くする… |
その他 | カロリー、エキス… |
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