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機能性と栄養に優れた
南米のマテ茶


「飲むサラダ」で糖尿病やアレルギー予防

 

野菜不足に欠かせないマテ茶

野菜不足に欠かせないマテ茶

 南米諸国の人々は、日本人に比べると何倍もの肉類を消費していますが、野菜類とりわけ緑黄色野菜の摂取量は驚くほど少ないのです。誰の目にも、アンバランスな食生活としか映りませんが、糖尿病や循環器系疾患をはじめとする生活習慣病の発症率が特に高いというわけではありません。それはなぜなのか。この事実が私がマテ茶に興味をもち、研究を始める発端となりました。
 マテ茶は日本でいえば緑茶のような存在で、お茶といえばマテ茶といわれるくらい、南米の人々にこよなく愛されています。古くから飲まれ続けてきたこのお茶に、栄養のアンバランスを補う秘密が隠されているのではないか。そう考えて、マテ茶の研究に取り組んでみると、なるほどマテ茶にはさまざまな成分が豊富に含まれ、体の機能に有効に働きかけていることが分かってきたのです。
 民間伝承的にも、食欲を増進させるとか疲労回復によいと言われてきたマテ茶ですが、それを裏付ける科学的な研究はほとんどなされてきませんでした。マテ茶に関する本格的な研究はまだまだ緒についたばかりといってよく、それだけに私たちの健康を見据えていく上で、大いなる可能性を秘めているともいえるでしょう。
 マテ茶は日本でも簡単に手に入れることができますが、馴染みのない方も少なくないようです。その理由の一つとして、マテ茶の正式な入れ方・飲み方が知られていなかった、という点が挙げられると思います。伝統的な作法に則った入れ方と、そうでない入れ方とでは、味も風味も違ってきて当然でしょう。そうしたことから、最近では手軽に本格的に味わえるティーバッグなども普及し始めています。
 かつて南米の国々には、移民として数多くの日本人が移り住んでいきました。そしていまなお、多くの人々が暮らしています。そこで作られ愛されているマテ茶は、私たち日本人の味覚をも、きっと楽しませてくれるに違いありません。

 

著者

 和田政裕(わだ まさひろ)

 

農学博士
1960年、東京都生まれ。1982年、東京農業大学農学部農芸化学科卒業。1987年、同博士課程修了、農学博士。同大学助手、講師を経て、1997年、同大学助教授。2001年、城西大学薬学部医療栄養学科教授に。専門は食品栄養学、食品機能学、医療用食品設計。主な研究は生活習慣病の予防・治療に対する食品機能学的アプローチ、食品成分の免疫機能に対する生理作用など。著書に「基礎栄養学」「食品学U」(同文書院)がある。

 

 

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