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■ ミニ健康書籍 ふるさと文庫 ■


ストレスと痛みを緩和する 母乳成分ラクトフェリン


現代人の心身を癒す「多幸感物質」の驚くべき作用

 

ストレスの多い現代人の心身を癒す「母乳成分」

ラクトフェリン ストレスの多い現代人の心身を癒す「母乳成分」

 お母さんの腕に抱かれ、おっぱいを飲んでいるときの赤ちゃんは、安心しきった表情をしています。全身で母親のぬくもりを感じ、ときに足でボディランゲージをとりながら乳房にすがりつき、やがてすやすやとおだやかな寝息を立てて眠りにつきます。
 赤ちゃんが、いかに母親に全幅の信頼を寄せ、身をゆだねているか、その幸せに満ちた無防備な寝顔を見れば一目瞭然です。
 ところで、おっぱいを飲むと赤ちゃんが眠くなるのは、成人同様、おなかがふくれて睡眠中枢が刺激されるためと考えられています。しかし、赤ちゃんの幸せに満ちた寝顔を見るうち、その背景にはもっと別の大きな理由も存在するのではないか、と私は考えました。すなわち、
「母乳の中には、赤ちゃんの心をおだやかにするモルヒネのような物質(多幸感物質)が含まれているのでは?」
 と、推測したのです。いまから20年ほど前のことです。
 もしそれが事実なら、その物質は、赤ちゃんのみならず、ストレス社会に生きる離乳後の子どもや大人にも大変強い味方となります。
 以後、私はさまざまな研究を繰り返し、ついに母乳を介して母親から子どもへ受け継がれる「多幸感物質」を見いだしました。それが本書で紹介するラクトフェリンです。
 ラクトフェリンは、心の不安をやわらげて精神状態を安定させる働きがあります。これは近年増えている神経症やうつの解決に大変有効で、しかもラクトフェリンは強い鎮痛作用を併せもつことから、がんの終末医療におけるQOL(生活の質)を高める素材としても注目されます。
 さらに、ラクトフェリンは慢性疾患や生活習慣病の予防と改善にも大きな効果を発揮します。現在まで、慢性関節リウマチ、アレルギー性疾患、がん、C型肝炎、高脂血症、冷えなどに有効性が示されています。
 社会の高齢化が進むわが国において、ラクトフェリンの役割は今後ますます重要なものになっていくでしょう。

 

著者

 原田悦守(はらだ えつもり)

 

獣医学博士
鳥取大学名誉教授
1939年埼玉県生まれ。63年帯広畜産大学畜産学部獣医学科卒業、65年北海道大学大学院獣医学研究科修士課程修了、その後、同大学獣医学部助手、講師、助教授を経て、94年鳥取大学農学部教授となる。日本学術振興会特別研究員審査会専門委員、農林水産省獣医事審議会委員、文部省大学設置・学校法人審議会専門委員などを歴任。後藤学術奨励賞、松永財団学術奨励賞、鳥取大学研究功績賞を受賞。05年鳥取大学を退官、同大名誉教授に。論文多数。


 木元博史(きもと ひろし)

 

医学博士
日本東洋医学会専門医
1960年東京生まれ。86年千葉大学医学部卒業、90年同大学院医学研究科病理系免疫学終了。国立予防研究所(現感染症研究所)免疫部、千葉大学医学部第3内科、千葉県立佐原病院内科医長を経て、98年永津会齋藤病院(現・永津さいとう医院)院長となる。『漢方の臨床』などに論文を多数発表。漢方学術奨励賞佳作、漢方医学教育振興会奨励賞。共著に「免疫力を鍛えるラクトフェリン」(産心社)。

 

 

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