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玄米菜食による「食養」の実践で心身浄化


メタボ・糖尿病対策
理想の主食 「玄米」

 

海外でも注目の玄米食

メタボ・糖尿病対策に理想の主食「玄米」

「世界のコメの生産量は年間6億トンを超え、小麦、トウモロコシと並ぶ三大穀物として、世界中の人の食事を支えています。近年では食糧面だけでなく、コメ食の健康に対する効果が注目されています。現在、コメ食はおいしさの観点から主に「白米食」となっていますが、コメの有効成分の大部分は、精米過程で除去される米糠に含有されています。米ぬかに含まれる有効成分にはコメ油、イノシトール、フェルラ酸、オリザノールなどがあり、各方面で利用されています。近年ではメタボリック・シンドローム、糖尿病、認知症、がんの予防や治療など、保健や医学的有効性の観点からも注目が集まっています」
 これは、2008年10月、和歌山市で開催された第2回国際シンポジウム『コメと疾病予防』の冒頭で、シンポジウム組織委員長の南條輝志男先生(和歌山県立医科大学学長)が述べられた言葉です。白米よりも、白米に精製する過程で削り取られる糠(玄米)のほうに健康的価値があることを強調されています。
 同シンポジウムには世界14カ国から500人の関係者が集まりましたが、南條先生の言葉を裏づけるように、35講演のうち半数以上が糠と糠中の生理活性成分についての講演でした。
 日本人は、今から数千年前の縄文時代に、焼畑的農法によって稲(コメ)を食べはじめたと考えられています。弥生時代に水田による集約的農法が伝来すると、稲はまたたくまに日本中に広まり、日本人の主食に定着したとされています。以来、私たちの先祖が食べ続けてきたおコメのごはんは、もちろん玄米でした。
 ではなぜ現在、圧倒的多数の日本人が玄米より白米を食べているのでしょうか。その理由を煎じ詰めると次の3点にいきつきます。

1.玄米は炊くのに手間がかかる
2.玄米ごはんは硬くて食べづらい
3.百年余の白米食習慣により、白米の食味が日本人に定着した

 つまり、栄養(健康)より、食べやすさ、おいしさが優先された結果、日本の食卓の主役が白米に取って代わったと考えられます。
 しかし、前記の1〜3の玄米の欠点は、調理器具や炊飯方法の改善でほとんど解消しています。現在市販の炊飯器には玄米のための目盛りがあり、玄米をおいしく炊くことができます。
 そもそも、おいしさだけを尺度に食べ物を選び、飽食を続けるのは、どこかまちがっているような気がします。私たちが生きるために天から与えられた食物(他の動植物のいのちです)をいただくとき、栄養の多い部分を捨てて、おいしいところだけを食べるのはもったいない、申し訳ないことではないでしょうか。
 ごはんを主食とした日本型の食生活は、国内より、むしろ海外で「理想的な健康食」として高く評価されています。ただし、白米が主役の日本食では、本来の日本食の効用が万全とはいえません。日本型食生活の利点を最大限生かすには、主食を玄米とするのが必須です。
 食物はなるべく全体を感謝していただく、これが私ども日本綜合医学会の考え方です。


 

 

白米は生命の糧にはならない

 生命なき食物は生命の糧とならず――、これは東大名誉教授であり、文化勲章受章者でもある二木謙三先生(1873〜1966)の言葉です。
 玄米は、地に播けば芽がでて成長します。つまり、「生命ある食物」です。これに対して、玄米から糠と胚芽を削り取り、胚乳だけとなった白米は、地に播いても発芽する力はありません。
 白米は、二木先生のおっしゃる「生命なき食物」であり、それを食べても「生命の糧」にはなり得ないというわけです。

 

著者

■ 種ヶ島 永宝(たねがしま えいほう) ■

 

医学博士
1925年香川県生まれ。1950年京都大学医学部医学専門部卒業。東京大学医学部に研究医として入学。日本鋼管鶴見病院で外科・内科を研修。1953年種ヶ島共立医院開業。1961年体質改善療法研究所開設。日本東洋医学会認定専門医。日本臨床内科医会認定医、日本医師会認定産業医。日本綜合医学会会長、食養学院学院長。著書「即自然則医学概説」(翠康会)「自律神経健康長寿法」(友文社)ほか。虚弱体質で病気ばかりしていた幼少期、当時の名医の治療でも治らなかったのが、玄米菜食によって救われた経験から、食養漢方で人々を救うことをライフワークとしている。



■ 一瀬 速(いちのせ はやし) ■

 

1931年東京都生まれ。1951年東京農工大学・東京農林専門学校農芸化学科卒業。三菱レイヨン(品質管理・食品調査)、ビタポール(薬系営業)、備前化成(商品企画・学術)を経て、現在NPO法人日本綜合医学会理事・学術委員、食養学院教授。食養指導士、技術士補(農業部門)、水質第一種公害防止管理者。

 


 

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