ガンや成人病に緑茶がイイという話をした場合、たいていは「そんなに安上がりで気楽な健康法はない」と喜んでもらえることが多いのですが、なかには「お茶で病気が治るなら医者はいらない」と、なかなか納得してもらえないケースも少なくありません。緑茶が、あまりにも身近にありすぎるため、その良さが見失われがちな点がちょっと残念です。
そもそも緑茶は、漢方の分野では五〇〇〇年もの昔から「薬」の一つとして用いられてきたものですし、日本でも近年にいたるまでは「薬用飲料」として飲み継がれてきた飲み物です。現在のように、嗜好的な意味合いで一般庶民が気軽に飲めるようになったのは、江戸時代後半のことといわれています。ですから、多くの病気に緑茶が有効だということは、何も昨今の健康ブームを待つまでもなく、ひと昔前の日本人であれば、誰でも知っている常識だったわけです。
とはいえ、緑茶の効用が科学的に証明されはじめたのは最近のことです。本書では、これまで明らかにされている、さまざまな病気に対する緑茶の効用を、多くの研究データに基づきながら紹介していきます。
本書を読むことで、これまで緑茶を単なる嗜好品として愛飲してきた人がもっと緑茶を好きになり、また、これまで緑茶をあまり飲む習慣がなかった人が、あらためて緑茶を見なおす契機になれば非常に嬉しく思います。みなさまの健康増進に、緑茶の効用が少しでも役立つことを心より願っております。
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