ガンや成人病に緑茶がイイという話をした場合、たいていは「そんなに安上がりで気楽な健康法はない」と喜んでもらえることが多いのですが、なかには「お茶で病気が治るなら医者はいらない」と、なかなか納得してもらえないケースも少なくありません。緑茶が、あまりにも身近にありすぎるため、その良さが見失われがちな点がちょっと残念です。
そもそも緑茶は、漢方の分野では五〇〇〇年もの昔から「薬」の一つとして用いられてきたものですし、日本でも近年にいたるまでは「薬用飲料」として飲み継がれてきた飲み物です。現在のように、嗜好的な意味合いで一般庶民が気軽に飲めるようになったのは、江戸時代後半のことといわれています。ですから、多くの病気に緑茶が有効だということは、何も昨今の健康ブームを待つまでもなく、ひと昔前の日本人であれば、誰でも知っている常識だったわけです。
とはいえ、緑茶の効用が科学的に証明されはじめたのは最近のことです。本書では、これまで明らかにされている、さまざまな病気に対する緑茶の効用を、多くの研究データに基づきながら紹介していきます。
本書を読むことで、これまで緑茶を単なる嗜好品として愛飲してきた人がもっと緑茶を好きになり、また、これまで緑茶をあまり飲む習慣がなかった人が、あらためて緑茶を見なおす契機になれば非常に嬉しく思います。みなさまの健康増進に、緑茶の効用が少しでも役立つことを心より願っております。
目次
第1章 緑茶の歴史と成分
五千年前に中国で「薬」として発見
源実朝が茶樹の栽培を奨励
日本の緑茶は種類が豊富
緑茶の渋味は主成分カテキンの味
心身の活力アップにカフェイン
上級緑茶ほどビタミンCが多い
〈コラム〉緑茶・紅茶・ウーロン茶の違い
第2章 こんな病気に緑茶が効く
血中成分を整え、動脈硬化を抑える
脳梗塞・心筋梗塞の予防に最適
糖尿病の食事療法にも有効
高血圧の解消に役立つ
〈コラム〉血圧降下作用が強い緑茶「ギャバロン茶」
病気の元凶・過酸化脂質の害を抑制
緑茶の産地は胃ガンの死亡率が低い
ガン化と増殖の両方を抑える
食中毒・虫歯の防止に効果的
その他にもこんな症状に緑茶が効く
第3章 緑茶の有効性を活かす飲み方
お茶を上手に飲む方法
緑茶の葉を食べると効果も倍増!
緑茶を飲む国、食べる国
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