糖尿病は古くから知られている全身性代謝異常疾患です。近年、特に高度経済成長以後、食生活などの変化によって、糖尿病患者が増えています。日本では、一九四七年から一九八〇年までの三〇余年間に、糖尿病罹患率は約一〇倍以上になっています。
WHO(World Health Organization =世界保健機構)は糖尿病の病型をT型(インスリン依存型糖尿病)、U型(非インスリン依存型糖尿病)、およびその他の三つのタイプに分類しています。
詳しくは本文で述べますが、T型糖尿病は糖尿病患者の約五%以下を占めるにすぎないと考えられています。一方、U型糖尿病は、全糖尿病患者の九五%以上を占めていると言われています。
糖尿病は全治させることは困難ですが、コントロール可能な疾患です。糖尿病の治療は、主に血糖(血液中グルコース)のコントロールの不良により生ずる糖尿病性合併症の発症や進展の防止を目標としています。T型の治療はインスリン注射が主体となっていますが、U型の治療は主に食事療法や運動療法で、それで効果がなければ経口血糖降下剤を使い、そのほとんどはインスリン注射の必要はありません。
経口血糖降下剤としてスルフォニル尿素系とビグアナイト系の化合物が主として用いられますが、いずれも血糖値(血液中グルコースの濃度)を低下させるものの、それぞれの副作用のためか延命効果が期待ほど大きくはありません。そこで今、世界中で副作用のない天然物による血糖降下剤が探求されています。
本冊子の主題であるバナバもその一つです。
以下、バナバについて出来るだけ詳しく述べたいと思いますが、糖尿病で悩んでいる人あるいは糖尿病の気配があって心配している人の指針になれば幸いです。
目次
〈コラム〉糖尿病の歴史
第1章 バナバ茶ってどんなお茶?
フィリピンでは古くから愛飲
東南アジアの熱帯に広く分布
バナバの有効成分
第2章 糖尿病のメカニズム
今や糖尿病は国民病
血糖値に異常が起きる
糖尿病には二つのタイプがある
定期的検査で早期発見
食事療法を基本に“一病息災”
〈コラム〉消化酵素活性阻害剤としてのバナバ
第3章 バナバ茶の注目される効果
血糖値を低下させる作用
バナバ茶が糖尿病に有効な理由
新陳代謝を良くし、便秘を解消
〈コラム〉おいしいバナバ茶はおいしい水から
第4章 バナバ茶の活用法
バナバ茶のおいしい飲み方
薬用茶として飲む時の注意
おすすめのふるさと文庫