微量でも驚異の貢献度
各種ミネラルの働き
これで納得!ミネラルがもたらす生理作用の数々
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最近、日本人の血液検査で異常値が目立っている。潜在的鉄欠乏である。約六割にあたる人の平均赤血球容積(MCV)の値が低いのである。若い人では、この割合が もっと高いそうだ。鉄欠乏を起こすと、貧血のみならず、将来、栄養障害、高血圧、糖尿病、高脂血症などの生活習慣病をひきおこし、やがて脳疾患や心疾患へと進行す るであろう。鉄欠乏の原因は、家庭で栄養バランスのとれた食事をしていないことやスナック菓子やファーストフードに頼っていることにある。鉄欠乏が長く続くと、鉄以外のカルシウムや銅など体にとって必要な金属元素の量がアンバランスになり、影響はさらに深刻になる。
ここに挙げた鉄、カルシウム、銅などの金属元素は、体を構成する必須の元素、一般に、ミネラルと言われるものである。我々の体の大部分は、タンパク質、脂質、糖質の三大栄養素から構成されるが、これらのみでは生きて行けない。ビタミンとよば れる微量で必須な一群の有機化合物は、第四の栄養素といわれ、約15種類が知られている。ビタミンは我々の体の中で作られないので、食べ物からとらねばならない。 かつてはビタミン欠乏症が多かったが、最近は少なくなった。我々は、この四大栄養 素に加えて、さらに第五の栄養素、つまりミネラルとよばれる多数の無機元素類を必要とする。長い間の研究から、生命にとって必要な元素類が明らかにされている。
人の体重1g あたりに換算して10mg以上の濃度で存在する元素を「多量元素」、1―10mg存在するものを「少量元素」とよんでいる。多量元素と少量元素 を合わせると1種類となり、体の99.3%を占めている。体重1g あたり1−100μg(マイクログラム)の割合で存在する9種類の元素は「微量元素」、さら に極く微量の2−1000ng (ナノグラム)の割合で存在する14種類の元素は 「超微量元素」とよんでいる。微量元素と超微量元素を合わせると23種類にもなる ことは、自然の驚異といえる。しかも、これらの元素をすべて合わせても、体の0.7%しか占めていないことになる。さらに興味深いことには、これらのほとんどは金属元素である。
世界の主要国では、食事から一日にとるべき元素量を決めている。わが国では食生活の多様性のためであろうか、成人にとって必要な元素の一日の摂取量を、カリウム、カルシム、リンおよび鉄以外は決められていなかった。しかし、最初に述べたように、鉄欠乏などが問題にされたり、若い人々に亜鉛欠乏が見つかったりしたために、さらに栄養素としてのミネラルの重要性が世界的に認識されるにしたがって、政府(厚生省)は規制緩和推進政策の一環として、必須元素の種類と量を大幅に変更し た。
このような状況の中で、私たちはミネラルの重要性を認識し、正しい知識をもっ て、毎日の食生活のなかでミネラルを充分にとり健康な生活をおくることが大切である。この小冊子では、これらのミネラルについて最小限の知識を紹介する。
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■ 桜井 弘(さくらい ひろし) ■
薬学博士
1942年京都市生まれ。京都大学薬学部製薬化学科卒業。同大学院薬学研究科博士課程修了。藤沢薬品工業梶A京都薬科大学講師、徳島大学薬学部助教授を経て、現在、京都薬科大学教授(代謝分析学教室)。専門は生物無機化学、生物錯体化学、ESR(電子スピン共鳴)分光学、微量分析学、薬物代謝学など。生体微量元素、金属タンパク質・金属酵素、金属を含む医薬品開発、活性酸素・フリーラジカルなどを研究の対象としている。著書に「金属は人体になぜ必要か」「ESRスペクトルの実際」「フリーラジカルとくすり」「生体微量元素」「バイオサイエンスESR(1・2)」、ふるさと文庫に
「体の中の鉄のはたらき」
「亜鉛は糖代謝・成長・味覚に必須のミネラル」
「微量でも驚異の貢献度各種ミネラルの働き」
など多数。
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