ブルーベリーとの出会いは、二三年前にさかのぼります。私が鹿児島大学に赴任したときわが国で初めてブルーベリーをアメリカから導入した、日本における「ブルーベリーの父」とも呼ばれる故・岩垣駛夫博士が暖地向の品種「ラビットアイ」の三品種を大学付属農場に贈られ、栽培の試験研究が始まりました。
なんとも言えない美しいブルー色、そして熟した果実を三、四粒口にほおり込んだときのおいしいこと、ジャムにしたらまたすばらしい風味、そして品種を選べば、北は北海道から南は鹿児島まで全国生産ができるというこのブルーベリーを、日本の食文化になんとかして定着させたいという関係者の願いが、今やっと現実となってきました。平成六年八月に、生産者を中心にブルーベリーに関わるあらゆる人々で組織された「日本ブルーベリー協会」が発足しました。
そしてあの輝きの青紫色の果実の色、アントシアニン色素には、人間の目によいという機能性、「眼精疲労」や「視力向上」に役立つという他の果実には見られない特徴があることがわかっています。そのほかにも、いろいろな働きがいっぱいで、中でも抗酸化作用、これは茶タンニンにも匹敵する強いもので、老化防止にも有効であると期待されています。
一方、ブルーベリーは不思議な小果樹です。人間の愛情に応えてくれるのです。ピートモスをたっぷり入れて、土壌を酸性にして、水を充分やれば良く育ちます。ブルーベリーに関わりますと、ほとんどの人がブルーベリーの虜になってくるのです。
今、わが家にもブルーベリーを十二本ほど植えています。全国の生産者のご苦労を肌で感じ、また収穫の喜びを味わっています。そのうえ無農薬栽培ができ、なんとも魅力たっぷりのフルーツなのです。
この小冊子を読んでいただき、消費者の方にも、ブルーベリーの良さをいくらかでも知っていただく機会があれば、大変嬉しく思います。
目次
〈コラム〉ブルーベリー・インダストリー
第1章 ベリーグッドなブルーベリー
ツツジ科のスノキ属の果実
濃いブルー色はアントシアニン色素
ブルーベリーの果実成分
ブルーベリーの三大品種
四つの優れた特徴
第2章 目からウロコが落ちる効能
なぜ、ブルーベリーは目にいいのか
今やブルーベリーは医薬品
フリーラジカルと疾患の関係
強力な抗酸化作用をもつ色素
いろいろな働きがいっぱい
〈コラム〉栽培農家の体験
第3章 もっと身近にブルーベリーを
ブルーベリーの上手な食べ方
生・ジャム・プレザーブ・ソース・ワイン・パイ
鉢もの、庭木として楽しむ
ブルーベリーを楽しめるスポット
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