ミツバチが集めるビーポーレンとは、一体どのような物質なのでしょうか。でも、その前に、植物の花粉というものについて、ごく簡単に説明したいと思います。この花粉についてはまた第2章でも、その研究の歴史等に触れました。
土の中の植物の種子は、適当な水分や温度、日光が与えられると発芽を開始し、その後、植物は順調に成長していくと、やがて花をつけます。
花というものは、植物の生殖器官に当たります。
その花の中にあるおしべの先端の袋、これを葯といいますが、この部分に花粉母細胞がつくられ、これが分裂を繰り返すことにより、一個の花粉母細胞から数千、数万個の花粉が誕生します。
たとえば、一個の松笠(松ぼっくり)の中には、実に約六〇〇万個という多くの花粉の粒子が存在していることがわかっています。
花粉は、動物でいえば、その精子に相当する生殖細胞です。大きさは、大きいもので一〇分の一ミリ、小さいもので一〇〇分の一ミリ以下となります。その外側は固い殻で覆われています。
この花粉がめしべに付着することにより受精が行なわれます。その結果として、植物は次の子孫を残せるわけですから、植物の連綿たる生命の営みにおいて、花粉の果たす役割は非常に大きいといえるでしょう。
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