コラーゲンの名は、すでにご存知の方が多いでしょう。とくに女性の方は、化粧品の素材としてすっかりおなじみと思われます。
しかし最近になって、そのコラーゲンが新たな側面から脚光を浴びはじめました。「飲むコラーゲン」「食べるコラーゲン」の登場です。
コラーゲンは、肌に塗布するより、むしろ口から摂取したほうが美容効果が高く、コラーゲンを食べることで、骨粗鬆症や関節痛、動脈硬化などの生活習慣病を含めたアンチエイジング(抗老化)全般に大きな効果が得られることが明らかになってきたのです。
そもそもコラーゲンは、全身に広く分布しているたんぱく質の一種で、張りのあるみずみずしい素肌や、しなやかな骨・関節、若い血管を保つうえで不可欠な栄養素であることは昔からよく知られていました。
ところが、食品成分としてのコラーゲンは、長いあいだ不当な扱いを受けてきました。従来の栄養学では、
「コラーゲンは食べてもまったく価値のない栄養素」
とされてきたのです。
その理由は本文で詳しく述べますが、現在でもコラーゲンの食効を否定する学者は少なくありません。
そこで論より証拠。私たちの研究グループは、肌の衰えが気になる世代の女性を対象に、実際にコラーゲンを食べてもらう臨床試験を試みました。
ちなみにこの試験は、一般の人はもとより、栄養学の専門家にもきちんと納得してもらえるよう、「二重盲検法」という厳重な方法で実施しました。この方法で行なうと、きわめて信頼性の高いデータが得られるのです。
結果は明らかでした。コラーゲンは、口から摂取した場合でも、まちがいなく美肌づくりに役立ったのです(2章参照)。しかも、私の予想を上回る成果が得られました。
肌は、体の健康状態をうつしだす鏡でもあります。
コラーゲンの摂取で、肌のみずみずしさが増したり、張りが回復したりすれば、同様の若返り効果が、骨や軟骨、血管などでも起こっていることが示唆されます。
さらに、コラーゲンの摂取で健康状態が好転すれば、それがまた肌状態の向上を促すといった、好ましい循環に回転していきます。
社会の高齢化が急速に進んでいる現在の日本で、アンチエイジングに大きな効果を発揮するコラーゲンの役割はきわめて重要です。
長寿を手放しで喜ぶ時代は終わりました。いくら長生きしても、骨折や脳卒中で寝たきりになったり、関節痛で家に閉じこもりがちの毎日では、本人にとって辛いばかりです。
いかにキレイに、そして元気に年を重ねてクオリティ・オブ・ライフ(QOL=生活の質)を高めるか、その実現をサポートする心強い味方として、コラーゲンは必ず役に立つでしょう。
目次
第1章 食べて効くコラーゲン
若さと美しさを生むエッセンス
コラーゲンは結合組織の主成分
線維状の構造に効果の秘密が
アンチエイジング効果の秘密
結合組織中のコラーゲンの役割
細胞を養う土壌でもある
コラーゲンの変化が老化を促す
年をとると体内合成量が減る
活性酸素は老化を促す元凶
コラーゲンの変化は抑えられる
食べたコラーゲンは吸収される?
「食べてもムダ」といわれる理由
体内吸収を立証したデータ
体内吸収のしくみはまだ不明
コラーゲンを食べる真の価値
コラーゲンは質が低い?
コラーゲンを食べる真の価値
体内合成が倍以上もアップ!
第2章 張りとうるおいのある素肌に
肌のシワはこうしてできる
皮膚の本体の70%がコラーゲン
シワ、たるみができるしくみ
食べるコラーゲンで、シワが改善
臨床試験の成果
肌アレが気になる季節も安心
肌の張りもぐんとアップ!
短期間でも大きな成果が
シミ・ソバカス対策にも最適
紫外線がメラニンの生成を促す
メラニンが沈着する要因
コラーゲンはここに効く
第3章 丈夫な骨と関節にも必須
骨粗鬆症の予防にも役立つ
骨の強靭さはコラーゲンの賜物
加齢とともに骨も老化する
骨粗鬆症は生活習慣病
カルシウム摂取だけでは不足
コラーゲンで骨量が増えた
閉経後の骨粗鬆症予防に有効
人を対象にした研究
関節の痛みにコラーゲンが有効
関節がなめらかに動くしくみ
軟骨と滑液がクッションに
変形性関節症はこうして起こる
コラーゲンの効果
〈コラム〉こんな症状にもコラーゲンを
動脈硬化/高血圧/胃潰瘍/目の老化
第4章 コラーゲンの利用法Q&A
Q・コラーゲンの一日の摂取量の目安は?
Q・コラーゲンの有効な補給源を教えてください
Q・コラーゲンと相性のいい栄養素はあるの?
Q・コラーゲンは、肌に塗っても美肌効果が得られる?
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