健康を維持するうえで、最も大切な機能のひとつに、体の免疫システムがあります。
私たちの身のまわりには、さまざまな有害物質が存在しています。たとえば病原菌やウイルスなどは、その代表といえるでしょう。免疫システムは、こうした外部からの異物の侵入に対して攻撃し、排除するだけでなく、体内でつくられた異物、たとえばガン細胞などに対しても、すみやかに反応して破壊し、増殖を食い止めようとします。 ただし、こうした免疫システムも加齢とともに徐々に衰え、低下していきます。一説によると、20歳を過ぎた頃から、こうした現象は進行するともいわれています。免疫力低下の原因は、身体的・精神的ストレス、大気汚染などによる環境の悪化、不規則な生活、喫煙、暴飲暴食……などによってももたらされることがわかっています。
私たちはときどき風邪をひいたりしますが、これも免疫力の低下と関係しています。体の抵抗力が弱まっているために、跳ね返すことができなくなってしまうのです。そして、さらにはガンをはじめとするさまざまな生活習慣病の発症とも、大きく関わっているのです。
体に本来備わっている免疫システムをできるだけ正常に維持していくには、まずは生活の改善に目を向けることが必要ですが、それと同時に、外部から免疫力を高める食品を積極的に摂るようにすることも、そのひとつの方法として忘れてはなりません。
「ベータ・グルカン」は、免疫賦活作用という点で、現在もっとも注目され期待されている物質です。ベータ・グルカンとは、糖としての性質を持っている化合物のなかで最小単位のもの(単糖)がいくつも結合した多糖類のことで、キノコや酵母類などから抽出されます。
ベータ・グルカンが発見されたのはすでに半世紀も前のことで、その間に国内外を問わず、いろいろな角度から研究・開発が進められてきました。そうした研究の成果をもとにまとめた本書によって、ベータ・グルカンへの理解がより深まれば幸いです。
目次
〈コラム〉微生物と顕微鏡
第1章 ベータ・グルカンって何?
アルファ型とベータ型のグルカン
グルカンとは多糖類の総称
アルファ型とベータ型
ベータ・グルカンの種類
キノコ類と酵母類
パン酵母から抽出
ベータ・グルカンの研究のあらまし
免疫療法剤として使用される
顕微鏡が研究を飛躍させた
ザイモサンを経てグルカンへ
ベータ・グルカンの研究のポイント
ベータ1―3、1―6グルカン
どのようにして吸収されるのか
第2章 免疫機能を高める作用
免疫は自己防衛のシステム
病原菌やウイルスからの攻撃
免疫システムが外敵を排除
免疫機能の低下が諸病を招く
免疫機能のメカニズム
免疫器官のそれぞれの役割
自然免疫系と獲得免疫系
体液性免疫と細胞性免疫
免疫力低下のさまざまな要因
免疫力が低下している現代人
40代からガンの発生が急増
ベータ・グルカンが免疫力を強化
免疫力強化のしくみ
その他の免疫強化法
第3章 期待される大いなる可能性
体の免疫システムを活性化させる
免疫システムは体重の3%
腸管内皮内リンパ球が増加
精製度が高いほど有効
さまざまな感染症を防止する
感染症を引き起こす病原微生物
ウイルス感染を予防
ベータ・グルカンのその他の作用
アレルギー症を予防・改善
強力な抗酸化作用
第4章 かしこい利用法Q&A
ベータ・グルカンはどんな人におすすめか?
*ストレスの多い生活を送っている。
*過労ぎみで疲労感や倦怠感がある。
*毒物などの汚染物質を扱う環境にある。
*偏食や不規則な食生活のために栄養不足ぎみである。
*病後で体力が落ちている。
*激しい運動をするスポーツ選手。
*喫煙習慣がある。
一日にどのくらいの量を摂取すれば効果を得られる?
医薬品や他のサプリメントと併用しても大丈夫?
副作用やアレルギーを引き起こす心配はない?
免疫力が高まることで、アトピーやぜん息が悪化しない?
免疫力強化による活性酸素の害はない?
ベータ・グルカンには痛みを緩和する作用はある?
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