アメリカで、ビタミンに続いて抗酸化物とともにブームを巻き起こした健康食品「レシチン」。日本へは一〇年ほど前に上陸しましたが、その直後に「レシチン」の医学的な効果を私たちグループが証明しました。「レシチン」を摂取することで、動脈硬化や高血圧の原因になる血中コレステロールや中性脂肪を少なくすることが、臨床試験で明らかになったのです。総コレステロールは三%程度でしたが、中性脂肪は十五%減少しました。
ところでコレステロールを減らすには、魚の油、その主成分のEPA(エイコサペンタエン酸)、あるいは植物油のリノール酸がいいといわれています。これらは、脂質の種類でいうと“トリグリセライド”(単純脂質である中性脂肪)です(EPAにはリン脂質型のあることが最近判明しています。また、EPAはα―リノレン酸系の脂肪酸で血栓予防などの諸効能があります)。それに対し「レシチン」は、同じ脂質でも“リン脂質(複合脂肪)”の一種のフォスファティディルコリンを豊富に含んでいます。リン脂質のファスファティディルコリンはレシチンの別名をもっており、商品名に用いられたのだと思います。
これまで、リン脂質といえば卵黄や大豆など食品を食べることで摂るものでした。当然、多量に摂取するわけにはいきません。そこへ大豆生産大国であるアメリカから、精製された「レシチン」が健康食品・機能食品として入ってきたのです。この小冊子は、「レシチン」について知られている効果や考えられる可能性について、まとめたものです。「レシチン」が予想以外の広範囲に作用をもつことがお分かりいただけると思います。ただし、「レシチン」の数々の有効作用も、まずは、各種の栄養素をバランスよく摂った上でよりよく発揮されるものです。
充実した食生活、さらに「レシチン」を上手に活用して、健康体の維持や病気治療の補助手段として使われることをおすすめします。
目次
第1章 レシチンって何だろう
アメリカでのレシチンブーム
レシチンは油脂の一種
細胞の重要な構成物質“レシチン”
〈コラム〉レシチンの語源は“卵黄”
第2章 レシチンの有効作用の数々
コレステロールを溶解・排出する
細胞を活性化させる
神経伝達物質との深いかかわり
ビタミンEとの相乗効果
第3章 こんな病気をレシチンで予防
高脂血症、動脈硬化を予防
肝臓をいたわり、腎機能を高める
イライラを解消、疲労回復
肌を美しくしたい人に
〈コラム〉良いレシチンの見分け方
第4章 最大限に活用するために
レシチンのここが知りたい
手作りジュース&レシチン二杯でパワーアップ!
〈コラム〉脳虚血発作が治まった!
大豆は畑のお肉
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