しじみといえば、一昔前までは、山間の沢や田圃の用水路などで簡単に取れたものです。ところが今では、もっとも身近な貝だったしじみも、自然の形ではあまり見かけなくなりました。農村といえども、それだけしじみの住みにくい環境になっているということなのでしょう。
それはさておき、日本には昔から、「しじみが肝臓にいい」とか、「しじみは黄疸に効く」と伝えられて来て、実際に、黄疸になるとひたすらしじみを食べたものでした。ではなぜ、しじみなのか?
しじみのタンパク質中には、ヒトの体内では合成することのできない必須アミノ酸が豊富に含まれていて、この良質なタンパク質が、肝臓病にとてもよく効くからにほかなりません。高い栄養価とともに、身近に取れてしかも安価な「庶民の味」であったことも、しじみが親しまれた理由でしょう。
貝類の中では、しじみがもっとも理想的なタンパク質をもっています。
また、カルシウムと鉄分の含有量も、貝類の中では抜群です。さらに特筆すべきは、リンの成分が少ないこと。リンを過剰に摂取するとカルシウム不足になりますが、その点、しじみはリンが少なく、カルシウムの摂取源としても優れた食品です。
ところで、肝臓障害で悩む人が増えています。ストレスや過労、偏った食生活、飲み過ぎ……いろいろな原因で、現代人の肝臓はあまりにも酷使されています。
そういう方に、しじみ(またはしじみエキス)はもってこいの食品です。疲れた肝臓をしじみで修復してやってください。また、貧血の人や、妊産婦、成長期の子供たちにも、しじみをおすすめできます。
本書では、しじみの成分や効用のほか、しじみの料理、しじみエキス愛用者の体験談などを載せました。この小冊子が、しじみ(またはしじみエキス)の素晴らしさを見直すきっかけになれば、嬉しく思います。
目次
〈コラム〉しじみの売り声と丁稚
第1章 しじみの成分の特徴
優れたタンパク質がいっぱい
豊富な鉄分・カルシウム
うなぎに匹敵するビタミン
〈コラム〉文芸にみるしじみ
第2章 肝臓病によく効くしじみ
“沈黙の臓器”肝臓
タウリンが肝細胞を活性化する
タンパク質が肝細胞を修復
〈コラム〉遺跡にみるしじみ
第3章 しじみはこんな病気も予防する
高血圧、脳卒中を防ぐ
骨を強化し、骨粗鬆症を予防する
しじみからカルシウムを摂取
しじみの鉄分が貧血を予防する
免疫機能を高め、抵抗力を強化する
変異原性抑制作用
第4章 しじみを取りに出掛けよう
しじみの種類と生息場所
しじみの料理
しじみエキスの作り方
しじみエキス愛好者の体験談
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