自分の手でミツバチを飼い始めたのが三五年前(昭和36年)、福岡県種畜場(当時)から分譲されたイタリアン系優良種を大学のキャンパスに迎えたときの感激と興奮が今も鮮やかに蘇ってきます。ミツバチ社会のふしぎな生態に魅せられ、その行動や生産物(蜂産品)、あるいは蜂針治療、さらには花粉媒介による食料生産などいわゆる資源培養型産業である養蜂産業の分野で実験・研究・調査の機会に恵まれ、何より幸せだったと述懐しています。
研究の前半は主としてミツバチ社会の行動・生態生理について、中でもミツバチの生存を脅かす外部寄生虫(ヘギイタダニ)の駆除法を確立し、ミツバチへの恩返しができ、養蜂産業の危機救済にいささか貢献できたと自負しています。中期から後半においては主にローヤルゼリー・プロポリス・ハチミツなどの蜂産品と人の健康との関わりを中心とした実験・研究を重ねてきました。
生体の恒常性(ホメオスタシス)の維持、ひいては細胞の活性化、免疫力の増強など、つまりバイオフィラキシー(食物・栄養と免疫力)の視点から、蜂産品の生体に対する効果的作用を眺めてきたわけです。
長い年月の間に、これら蜂産品によって健康の維持増進はもちろんのこと、難病をかかえる人や医療現場から見放された人々の中で健康を完全に取り戻した貴重な事例を数多く知ることができました。この小冊子ではそれらの具体的な症例を述べるスペースはありません。また、それらについての医学的な検証はなかなか困難ではありますが、これらの事実をどのように受け止めたらよいのでしょうか。そしてまた、医学的検証が困難だとの理由で、健康食品といわれる食べ物を敬遠してよいのだろうかと思います。
検査や治療にすばらしい成果を上げている西洋医学を主流とする現代の医療にも自ずから限界があることが多く指摘されています。太古の昔から愛用されてきたハチミツやプロポリスなど、自然の食品や古来の食物の中にすばらしい薬効的な成分が数多く含まれていることに私たちはもっと注目すべきではないでしょうか。
これまでの体験に基づき私見を述べるならば、プロポリスには限りなく医薬品に近い生薬的な薬効成分があり、ローヤルゼリーは現代科学の力を借りても完全には証すことのできない不可思議なエネルギー物質を秘めていると考えますし、またハチミツは今も昔も変わらぬ即効的な疲労回復剤であり、漢方処方にも不可欠なものといえます。
これらミツバチからの貴重な贈り物を上手に活用することによって、何よりの財産である心と体の「健康」の保持増進に役立てて欲しいものです。
目次
第1章 ミツバチに感謝しよう
ミツバチの不思議な生活
蜜集めは楽しいダンスで
ミツバチがもたらす生産物の数々
第2章 注目の「プロポリス」の正体は
巣を守る神秘の物質
フラボノイドなど有効成分がいっぱい
ガン予防や制圧に威力
新陳代謝の促進で老化防止
便秘を解消し、きれいなお肌
プロポリスの上手な飲み方
第3章 ロングセラー「ローヤルゼリー」の神秘
女王蜂はローヤルゼリーでつくられる
豊富なアミノ酸+謎の物質
自律神経を活性化しストレスに強くなる
内部から若返り精力増強
ローヤルゼリーの上手な飲み方
第4章 やっぱり「ハチミツ」は主役
ハチミツは大自然の貴重品
もっとも安全な甘味料
疲労回復させ内臓を活発にする
ハチミツを常備し、上手に使おう
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