肺がん、がん免疫療法にラクトフェリン

各種がん患者のQOL(生活の質)向上に役立つ

安藤 邦雄 著 2009.12.16 発行
ISBN 978-4-89295-805-2 C2177  文庫サイズ 48ページ 定価 275円(本体 250円)

がんとの闘いを有利にする

ラクトフェリン…各種がん患者のQOL(生活の質)向上に役立つ

「(医師は)自身の能力と判断に従って、患者に利すると思う治療法を選択し、害と知る治療法を決して選択しない」
 これは古代ギリシャで、新しく医師になる者に宣誓させたといわれるヒポクラテスの誓い≠フ一文です。医師としての倫理的規範を説いたものですが、現在のがん治療の現場ではこの誓いがないがしろにされているような気がしてなりません。
 いま医療現場で行なわれているがんの三大療法――外科手術、放射線療法、化学療法――はどれも、患者さんに苦痛を与えてQOL(クォリティ・オブ・ライフ=生活の質)を下げ、自然治癒力を奪ってしまうものばかりだからです。もろ刃の剣≠ニ知りつつも、より強力な抗がん剤を開発し、患者さんの心身を傷めつけるという乱暴な治療法がまかりとおっています。
 しかも、欧州で行なわれた比較研究によると、1995〜2000年の間に欧州で承認された12種類の新規の抗がん剤はすべて、延命効果、QOL、安全性の三点について、従来の薬よりすぐれている面はないと報告されています。
 わが国における死亡原因の第1位はがんであり、まもなく3人に1人ががんで死亡する時代がくるといわれています。
 したがって、「がんの発生・転移・再発に関する予防法」と「外科手術、放射線療法、化学療法を受けるがんの患者さんの生活の質(QOL)を高く維持する対策」の確立は、医療上、最も重要な課題の1つとなっています。
 ところが、現実は前記したような状況であり、緩和ケアの施設に入所できる末期がんの患者さんもごく少数に限られ、大部分は「がん難民」として医療から見放されているのが実状です。
 このような動きの中で、がんじがらめ≠ナ身動きのできなくなったがんとの闘いから解放してくれる素材として、私たちが注目したのがラクトフェリンです。
 ラクトフェリンは、がん対策の素材として、従来のものとはまったく異質のものといえます。ラクトフェリン自体に副作用がないのはもちろんのこと、放射線療法や化学療法の副作用をやわらげる効果も期待できます。
 さらに、外科手術の回復を助けたり、がんの疼痛や精神的ストレスに対しても有効に働くことから、患者さんのQOLの向上にも役立ちます。
 ラクトフェリンの効果の全容は、同文庫シリーズの拙著『メタボ、がん、加齢に克つ ラクトフェリン』で紹介しました。今回はとくに「がん」にターゲットを絞ってお話ししたいと思います。
 今後、ラクトフェリンのような患者さんに優しい素材が、医療現場においてがん対策の主流となっていくことを願うばかりです。

 


免疫細胞の連携プレー


 免疫は、生まれながら体にそなわっている「自然免疫」と、生まれたあとに形成される「獲得免疫」があります。それぞれ免疫細胞≠ニ呼ばれる兵士が複数配備されていて、互いに役割分担しながら連携プレーでがんを排除します。
 がんが体内に生じたとき、真っ先に現場に駆け付けるのは、自然免疫に所属する兵士です。具体的には、「樹状細胞」「マクロファージ」「NK細胞」「好中球(細胞内顆粒にラクトフェリンを蓄え、感染局所で放出する)」いった面々です。
 NK細胞は、がんの芽を見つけるやいなや攻撃を仕掛けていきます。一方、樹状細胞とマクロファージは、がんを攻撃するとともに、がんの情報を獲得免疫の基地(リンパ節)へ届ける役目も担っています。「抗原提示」と呼ばれるしくみです。
 がんの情報を受け取った獲得免疫の基地では、指令塔の「ヘルパーT細胞」が、精鋭兵士の「キラーT細胞」を活性化して出動命令を下します。ここからが、がんと免疫の全面戦争のスタートです。
 私たちの体内では、毎日数千個ものがんの芽≠ェ生じているといわれています。それでも通常は何事もなくすんでいるのは、こうした免疫細胞たちの活躍によって、がんがまだ小さな芽のうちにすべて摘み取られているからです。
 ところが、年齢を重ねるごとに免疫力は衰えていきます。つまり、年をとるほど、がんが発生しやすくなるわけです。そこでラクトフェリンが必要となってくるのです。


目次


第1章 免疫を高めてがんを叩く
     がん対策の決め手は「免疫力」
       がん治療のジレンマ
       免疫細胞の連携プレー
     免疫を強化するラクトフェリン
       母乳に豊富なたんぱく質
       発見されたのは70年前
       免疫強化の立役者
     免疫力を高めるしくみ
       小腸のパイエル板から吸収
       樹状細胞の役割
       NK細胞も活性化
     がんの血管新生を阻害
       分子標的治療薬と同等の効果
       副作用の心配がないのが利点

第2章 がんに対する効果の検証
     末期の肺がんにここまで効く
       米国の臨床試験の成果
       FDAが有効性に注目
       ラクトフェリン単独の効果
     腎細胞がんに対する効果
       米国の臨床研究の成果
       特効薬の副作用を抑える
     がんの転移を防ぐ効果も
       国立がんセンターの研究
     がんの予防に最適の食品
       13年間の予防研究の総括
       がんの予防、再発防止にも
     大腸がん、膀胱がんの予防に
       動物実験のデータ
     肝臓がんのリスクを抑える
       ウィルソン病も引き金に
       ラクトフェリンの抗酸化作用
     子宮頸がんに対する期待
       ラクトフェリン愛用者の声
     がん免疫療法への期待
       がんの免疫療法とは
       アジュバンドとしての効果

第3章 QOLの向上に役立つ
     患者さんのQOLの向上に
     副作用は酸化ストレスが原因
     放射線療法の効果を高める
       ラクトフェリンで脳死を予防
       酸化ストレスも抑える
     抗がん剤による口内炎予防に
       抗酸化作用+抗ウィルス作用
     手術の回復をサポートする
       術後の感染症対策に
     精神的ストレスと疼痛を緩和
       心身両面から効果を発揮
       強い不安感をやわらげる
       がん性疼痛にも高い効果
       モルヒネとの比較
     〈コラム〉代替医療としてのラクトフェリン

第4章 効果的な利用法Q&A
     Q・ラクトフェリン食品にはどのような種類がある?
     Q・口から摂取したラクトフェリンは吸収できる?
     Q・ラクトフェリンは外用でも使用できる?
     Q・食品としての安全性は確立されている?



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