私はここ数年、糖尿病の食事療法に有効な食品を探す研究をしています。ハタケシメジと出会ったのもそうした研究の過程でした。２０００年の秋のことです。当時すでにハタケシメジは、ガンをはじめ、高脂血症や高血圧などさまざまな症状に対して効果を発揮することが明らかにされていました。
そこで私は「これがもし血糖値のコントロールにも有効なら、糖尿病とそれに付随しやすい諸症状の問題を一気に解決できるかもしれない」と思い、さっそく実験に着手したのです。
その結果、確かにハタケシメジは糖尿病の食事療法にもってこいの食材であることが確認できました。ハタケシメジの投与で、糖尿病マウスの血糖値が有意に低下し、糖尿病の初期からよくみられるインスリン抵抗性が改善されることもわかったのです。
このように一つの食品が、ガンや糖尿病をはじめ生活習慣病全般に有効というのはいささかマユツバ的に聞こえるかもしれません。
しかし、ハタケシメジは、それ自体が直接的に血糖値を下げたり、ガンをやっつけるわけではなく、体が本来もっている健康を維持しようとする力を呼び覚ますことで健康効果を発揮します。つまり、体の根底から健康を建て直すことで、結果的にあらゆる症状を解決に導いていくのです。
ごく初期の糖尿病や高血圧であれば、ハタケシメジを日常の食生活に積極的に取り入れるだけでもかなりの成果が期待できると思われます。一方、ある程度進行した病気や、ガンのような難病は、薬の力も必要になります。薬は、病気を治す力や即効性については文句なしです。それでもなお、ハタケシメジの併用をすすめるのは、薬には必ずといっていいほど副作用の問題がつきまとうからです。
ハタケシメジは、現在まで副作用のようなものはいっさい報告されていません。たとえ薬と同じ作用機序（しくみ）で効果を発揮する場合でも、体に負担をかけることはなく、なおかつ薬の副作用をやわらげる働きも期待できるのがハタケシメジの特長です。
薬の強い力で病気をねじ伏せながら、同時にハタケシメジのような機能性をもつ食品を積極的にとって、薬のパワーを多方面からサポートしていく――これが理想と私は考えます。
実際、ガンの患者さんに対して、従来の治療とハタケシメジを併用した研究では、大変すばらしい成果がみられています。しかも、ハタケシメジは「食べて効いている」ところが注目されます。
ハタケシメジを上手に利用した「おいしい健康法」で、一人でも多くの人がゆるぎない健康を築かれることを心より願います。
目次
第一章 ハタケシメジを検証する
おいしい健康キノコ「ハタケシメジ」
念願の人工栽培についに成功
最大の注目成分「β―グルカン」
ハタケシメジは食物繊維も豊富
ペプチドに秘められたパワー
ミネラル＆ビタミンの補給源として
第二章 生活習慣病の予防と改善に
糖尿病は全身をむしばむ怖い病気
糖尿病の食事療法にぜひおすすめ
高脂血症を解消し、血管を守る
高血圧の予防と改善にも役立つ
アレルギー性疾患にも効果が
急性の肝炎を抑えるうえでも有効
第三章 ガンに対してここまで効く
身近なキノコで最大のガン抑制率
ガンの患者さんで８割以上の有効率
β―グルカンが免疫力を活性化
「食べて効く」のが大きな魅力
放射線療法の副作用緩和も期待
豊富な食物繊維は大腸ガン予防に
〈コラム〉ハタケシメジの効果的な摂取法Ｑ＆Ａ
参考文献
●参考論文
「Antidiabetic Activity of Lyophyllum decastes in Genetically Type2 Diabetic Mice」Biol.Pharm.Bull.25(9)1234-1237(2002)
「ハタケシメジの血漿コレステロール上昇抑制作用」日本食品科学工学会誌 第48巻 第７号 520-525（2001）
「ハタケシメジのアンジオテンシンⅠ変換酵素阻害活性および抗腫瘍活性」日本食品科学工学会誌 第48巻 第１号 58-63（2001）
「高血圧ラットによるハタケシメジの血圧降下作用」第121年会日本薬学会 要旨集－３ P67（2001）
「ハタケシメジ（Lyophyllum decastes Sing）熱水抽出物カプセル内服の犬および猫における臨床効果―ウイルス性疾患および高齢時の活力回復と皮膚脂漏症の改善―」小動物臨床 Vol.21 №6（2002）
「ハタケシメジの四塩化炭素肝障害モデルに対する肝障害抑制作用」第123年会 日本薬学会 要旨集―３ P94（2003）
「Antitumor Effects of(1→3)-β-D-Glucan and (1→6)-β-D-Glucan Purified from Newly Cultivated Mushroom、Hatakeshimeji（Lyophyllum decastes Sing.）」JOURNAL OF BIOSCIENCE AND BIOENGINEERING Vol.90,№1,98-104 （2000）
「担ガンマウスの放射線治療におけるハタケシメジ抽出物併用効果」日本癌学会総会記事 第60回総会（横浜）P601（2001）
●参考書籍
「夢の健康食品『ハタケシメジ』」伊藤均・久松眞・監修／ハタケシメジ研究会・著（プレジデント社）
「『ハタケシメジ』ガン臨床治験リポート」水嶋丈雄／著（現代書林）
「免疫活性をうながすキノコ ハタケシメジ」水嶋丈雄、久松眞（ハタケシメジ研究会）
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