プラセンタ療法と中医学の調整作用

陰陽五行説に基づき更年期症候群を改善

長瀬 眞彦 著 2013.06.21 発行
ISBN 978-4-89295-818-2 C2177  文庫サイズ 48ページ 定価 275円(本体 250円)

中医学から探る「プラセンタ療法」

プラセンタ療法と中医学の調整作用

 英語で「胎盤」のことを「Placenta(プラセンタ)」といいますが、この胎盤を、病気治療などに用いるのが「プラセンタ療法」です。
 現在、私のクリニックでは、東洋医学、中でも「中医学(中国の伝統医学)」を治療法の柱に据えていますが、同時にプラセンタ療法にも力を入れています。病状によって、中医学とプラセンタ療法を併用することもあれば、プラセンタ療法を単独で行なうこともあります。その割合をみると、前者のほうがやや多いといったところです。
 プラセンタ療法は、現代医学的にも、さまざまな疾患に有効であることが判明しており、私も日々の治療行為の中でその効果のほどを実感しています。ところが、効果の要因については、100年にわたる研究にもかかわらず、いまだ特定されていないというのが実情です。
 前著『更年期障害、疼痛、美容などにプラセンタ療法』(ふるさと文庫)の中でも述べたように、プラセンタには活性酸素除去、基礎代謝向上、自律神経調整など、いくつものすぐれた作用のあることが知られています。しかし、たとえばプラセンタの注射剤の成分は、アミノ酸や核酸、ミネラルなどですが、これらの物質をもとに、プラセンタ療法による多様な効果・効能を説明できるかとなると容易いことではない、と言わざるを得ません。
 このように未解明な部分も多く、今後のさらなる研究がまたれるプラセンタですが、本著では、前著の内容にも簡単に触れながら(詳しくは前著をご参照ください)、より中医学的な観点から、その有効性にアプローチしたいと思います。また、中医学への理解を少しでも深めていただければと、その思想的背景についてもご紹介します。4章では、プラセンタ注射による具体的な治療例を数多く取り上げました。臨床の現場を具体的に知っていただければと考えたからです。
 本著が前著ともども、プラセンタ療法の素晴らしさを知っていただく上でお役に立てるならば、これに勝る喜びはありません。
 


目次



     〈コラム〉陰陽五行説と日本人

第1章 多方面で役立つプラセンタ
     さまざまなプラセンタ製剤
       胎児を守り、育てる「万能の臓器」
       サプリメントや化粧品にも使用
       「プラセンタ注射」の種類
     なぜ多彩な効果があるのか
       フィラトフの「生物原刺激素説」
       「成長因子の活性化」説
     経絡上のツボに注射
       経穴や阿是穴に注入
       「正経十二経」のツボを用いる
       「vCJD」問題について

第2章 優れた「生薬の特性」をもつ
     「紫河車」の名で用いられる
       中医学から見た二つの特長
       『本草綱目』にもその名がある
     正気を補い、邪気を取り除く
       病気は正気と邪気の戦い
       「補正・去邪」の作用をもつ
     生薬の特性――四気・五味・効用
       「温」の性質をもつ
       五味では「甘」と「鹹」の2種類
       効用としては大きく三つの作用

第3章 中医学の源は「陰陽五行説」
     「陰陽説」は二元論的宇宙観
       「陰陽説」と「五行説」が結合
       陰陽の四原則
       陰陽のバランスを整える
     万物は「五行」から生成される
       五行のそれぞれの特性
       助け合い、抑制し合うのが五行
     陰陽では五臓は陰、五腑は陽
       五臓などにおける「五行配当」
       五臓は陰、五腑は陽に区分

第4章 幅広い効きめのプラセンタ注射
     冷え性を改善、肩こりも消失
       中医学などとの併用が基本
       長年の冷え性から解放された
     アレルギーやリウマチの症状を緩和
       アトピー性皮膚炎の症状が安定
       気管支喘息ではツボにも注射
       関節リウマチの痛みが軽減
     更年期症候群や精神性疾患の改善
       更年期症候群が半年で楽に
       月経前後の諸症状が改善
       精神が安定し、不眠も解消
     整形外科的疾患に効くツボ注射
       腰椎すべり症が原因の下腹部痛
       変形性腰椎症と坐骨神経痛
       患者さんを悩ませた頸肩腕症候群
       腰部脊柱管狭窄症と坐骨神経痛
     不妊や子宮筋腫にも有効
       不妊が改善し約1年後に妊娠
       子宮筋腫の縮小が認められた
     がんのQOLの向上効果
       手術後のQOLが向上
       がんの予防や治療効果への期待


引用文献

・甄立学:生薬の一般知識−紫河車を例として−,胎盤医療研究会会報,
 第8号,2001
・唐木英明:わが国におけるBSE対策の現状と課題,日本獣医師会雑誌,
 Vol.57,7月号,399-402,2004
・長瀬眞彦:アレルギー疾患、精神疾患、婦人科疾患におけるプラセンタ療法
 の効果と、 漢方薬併用による相乗効果,日本胎盤臨床研究会研究要覧,
 第1号,2008
・長瀬眞彦著,吉田健太郎監修:プラセンタによる[ツボ注射],2009
・長瀬眞彦:多様な疾患に対するプラセンタ注射の効果,
 日本胎盤臨床研究会研究要覧,第7号,2011
・長瀬眞彦:当院でのプラセンタ治療の実際,日本胎盤臨床研究会研究要覧,
 第9号,2011
・Donggeun Sul:ガンマ線照射およびベンゾピレン(BaP)によって
 誘導されたラットの各種組織における酸化傷害に対する胎盤抽出物(PE)
 の影響,第11回日本胎盤臨床研究会大会,招待講演,2012


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