近年、予防医学が脚光を浴びるようになってきました。というのも、日進月歩で医学は進歩しているにもかかわらず、わが国では依然としてガンでの死亡者数が増加中です。その反省から、これまでの治療中心の医療から、予防に重きをおいた医療へと関心の目が向けられ始めたからです。いかにガンを治すか、ということも大事だが、どのようにすればガンにかからないか、ということは、さらに重要だ、という考え方が出てきたわけです。
病気の予防、とりわけガンをはじめとする生活習慣病を予防するには、その名から分かるとおり、日々の生活習慣の改善が必須となってきます。その中でも、医食同源という言葉も見られるように、食と私たちの健康とは非常に密接な関係にあります。したがって、毎日の食事の内容を見直すことは、生活習慣病を予防するうえで、大きな効果を発揮するといえます。
そうした観点から、是非おすすめしたい食品の一つが、キノコです。キノコは古くから体によい食品とされ、生薬としても利用されてきました。抗ガン剤のもととなったキノコもあります。キノコには、私たちの健康に役立つ機能をもつものが多く見られます。
たとえば、アガリカス、霊芝、メシマコブなどは、免疫機能を活性化して自然治癒力を高める効果をもつことで、よく知られています。(市場ではアガリクスと呼ばれていますが、筆者を含む多くのキノコ研究者が、その発音により近いアガリカスを採用しています)。これらのキノコは、食卓にのぼるような食品ではなく、サプリメントとしての利用が主ですが、広い意味での食といってもよいでしょう。
アガリカス、霊芝、メシマコブなどは現在、「第一世代キノコ」と呼ばれています。第一世代キノコとは、ベータ・グルカンが主成分で、免疫賦活作用をもつキノコのことです。
そして、ここ数年、大きな注目を集めるようになってきたのが、「第二世代キノコ」と呼ばれるものです。本書でご紹介するベニクスノキタケは、その代表的な存在といえるものです。第一世代キノコと第二世代キノコであるベニクスノキタケとの大きな違いは、ベニクスノキタケには、ベータ・グルカンのほかに、第一世代キノコにはほとんど見られない、トリテルペン類という生理活性物質が豊富に含まれていることです。このため、ベータ・グルカンとトリテルペン類との相乗効果が期待でき、高い機能性を発揮すると考えられています。
実際、台湾やわが国で行なわれている、さまざまな動物実験や臨床試験において、すぐれた抗腫瘍作用や肝機能改善作用などが明らかとなってきており、治療が難しいとされるC型肝炎の改善にも役立つことが分かってきました。
ベニクスノキタケは、台湾だけに自生している珍しいキノコです。しかも、その台湾でも、天然のベニクスノキタケの数は非常に少なくなっているという、大変貴重なキノコなのです。本書が、このようなベニクスノキタケへの理解を深める一助となれば幸いです。
目次
第1章 ベニクスノキタケって何?
台湾だけに自生する伝承薬
台湾だけのめずらしいキノコ
牛樟樹の虚に寄生
古くから常備薬として利用
国家プロジェクトとして研究
台湾政府主導による保護と研究
菌糸体の人工培養
主な有効成分とその作用
トリテルペン類が多いのが特徴
第二世代の健康キノコ
トリテルペン類のすぐれた効能
相乗効果が期待できる
第2章 ガン抑制のすぐれた働き
免疫機能の活性化
免疫機能の低下がガンを誘発
免疫機能を高めてガンを抑制
免疫枯渇を防止する
免疫の反応が鈍くなる
免疫枯渇を防ぎ抗腫瘍効果を強化
アポトーシスの誘導作用
ガン細胞のアポトーシスを促進
ガン細胞の増殖を抑制
第3章 こんな病気に効果を発揮
各種ガンの予防と治療
動物実験でも増殖を抑制
ガンの予防や改善に有効
肝炎・肝硬変などの改善
臨床試験でも高い評価
C型肝炎、肝硬変も改善
アレルギー症状の緩和
アレルギー疾患の人が増加
アレルギー状態を改善
第4章 これは知っておきたいQ&A
Q.副作用や安全性についての心配はない?
Q.ベニクスノキタケは、どんな人が摂るとよい?
Q.効果を得るには、どのくらいの摂取量が必要か?
Q.どう摂取すればベニクスノキタケの効果が高まる?
Q.ほかのサプリメントと併用しても問題ない?
Q.ほかの病気の薬を服用しているが、摂取しても大丈夫?
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