数十年前のテレビコマーシャルに「タンパク質が足りないよ」というものがありました。
しかし、食生活が豊かになった現在、私たちには「カルシウムが足りない」のです。
健康を維持し、活動的な生活を営むために必要な栄養素には、炭水化物、タンパク質、脂肪、ビタミン、ミネラルがあります。カルシウムはミネラルのなかの重要な一つですが、先に挙げた栄養素の中で、所要量(一日当たりの目標摂取量)を満たしていないのはカルシウムだけなのです。
ご存じのように、カルシウムは骨の主成分としてそれを丈夫に保つ働きがあります。カルシウムが不足すると、“骨粗鬆症”といって骨のカルシウムが抜け出しスカスカになり、変形したり、少しのショックで折れやすくなってしまう病気になります。
さらにそのために寝たきりになれば、脳の活動が低下するためボケの原因にもなります。
そのほか、カルシウムは体内でいろいろと重要な働きをしていますので、カルシウム不足は、動脈硬化や高血圧などの成人病を招くことにもなります。
このように、私たちの健康にとってカルシウムは欠かせない成分です。そのカルシウムについて、より正しい知識を得られ、不足なく摂取していただければと思い本書を著しました。
カルシウムが私たちの体のなかでどういう働きをするのか、カルシウムが不足すると具体的にどのような弊害が起こるのか、そして、その弊害を防ぐ(カルシウム不足にならない)ための食生活についても、わかりやすく説明してあります。
この小冊子が、カルシウムに対する理解とみなさんの健康に役立てていただければ幸いです。
目次
〈コラム〉日本の水にはカルシウムが少ない
第1章 体内でのカルシウムの働き
機能を調整する血中カルシウム
カルシウム代謝の仕組
カルシウムパラドクス
さまざまなカルシウムの作用
第2章 カルシウム不足の弊害とその予防
骨の“軽石状態”骨粗鬆症
カルシウム不足が動脈硬化に
血圧を下げるカルシウム
インシュリン分泌を促し糖尿病予防
ガン撃退!?カルシウムが免疫細胞の活動を高める
神経の刺激を伝達するカルシウム
老人性痴呆症と脳のカルシウム
〈コラム〉中国4千年の歴史
第3章 食生活にもっとカルシウムを
日本人は慢性的なカルシウム不足
女性にカルシウムのすすめ
子供の成長とカルシウム
カルシウムを多く含んだ食品
カルシウム不足を招く食品
カルシウムを豊富にとるメニュー(1)
カルシウムを豊富にとるメニュー(2)
カルシウムを豊富にとるメニュー(3)
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