哺乳類は地球に誕生して以来、数万年にわたって少しずつ進化をとげてきました。その進化の課程で人類がほかの動物と決定的に異なったのは、急速な脳の成長・発達(と直立歩行)がヒトだけに生じたことです。
脳の発達は言葉(と手の自由)をもたらし、やがて四大文明を誕生させ現代の繁栄を築かせました。もし、進化の途中で脳の成長がなかったなら、人類の歴史はまったく違うものになっていたはずです。
ではいったいなぜ、人類の脳は飛躍的な進化をとげることになったのでしょうか。“魚を食べると頭が良くなる”という報告で、世界中の人々を驚かせたイギリスのマイケル・クロフォード博士は、その著書『原動力』の中でつぎのような興味深い報告をしています。
「世界の四大文明(エジプト、インダス、メソポタミヤ、黄河)は、いずれも河川流域に集中して発祥している。農耕技術を持たなかった当時の人々が、その河川で取れる魚介類を主食にしていたことは明らかだ。とすれば、魚介類をたくさん摂取することが、人類の脳の進化に大きな影響を与えてきたと推測できる」
わたしたちの祖先が、大河の恵みの魚介類をたくさん食べていたことで、計らずも脳の発達・成長が促され、現在の高度な文明社会生みだす礎になったとすれば、魚食の功績は絶大です。
本著では、魚に含まれるDHA(ドコサヘキサエン酸)が知能の発達にとって有効である事実はもとより、わたしたちの生体機能を維持するうえでも、絶対に欠かせない必須の成分であることを、最新の研究データをまじえて紹介してあります。
現在の魚食離れは、脳の発達と健康体の維持にとって憂うべきことです。この本を読むことで、魚食の大切さを実感していただけることを願っております。
目次
まえがき―魚食離れは人類の危機!
〈コラム〉魚は栄養素の豊庫
第1章 うわさの「DHA」効能
・魚を食べないと寿命が縮まる
食卓から魚介類が消えつつある
魚を食べないと早死にする
・EPAとDHAはどう違う
DHAは人類の生命活動に必須の成分
・医療現場から熱いラブコール
DHA研究が出遅れた理由
眼窩脂肪に高純度のDHAを発見
99%以上のDHA精製が可能に!
DHA入り食品の開発も
第2章 魚のDHAで難病に克つ
・大腸ガンの抑制効果を確認
ガン急増の要因は食生活の欧米化
“前ガン病変”の形成を抑制
大腸ガン家系の人には予防効果が
DHAはガン促進物質を抑える
・乳ガンの抑制、制ガン剤の副作用を緩和
アメリカで注目の乳ガン抑制作用
カツオ油がマウスの乳ガンを抑えた
魚食は子宮頸ガンの死亡率を下げる
制ガン剤の副作用緩和にも有効
・コレステロール&中性脂肪の低下作用
動脈硬化の加速は要注意!
DHAのコレステロール低下作用
・血液をサラサラにして血圧を下げる
血液粘度が高まると細胞が栄養不足に
DHAで血液がサラサラに
・虚血性心疾患の死因「不整脈」を防ぐ
虚血性心疾患の死因は不整脈
DHAの不整脈防止効果
DHA摂取で死亡率が低下
・アレルギー体質を根本から解消
アレルギーは身体の過剰防衛?
DHAは{PAF}の抑制に有効
・劇症肺炎の緩和にDHAが効く
肝臓の腫れは「脂肪肝」
DHAが肝不全を防いだ!
第3章 DHAが頭脳を良くする
・DHAは「記憶学習能力」向上エキス
世界中が驚いたDHAの効能
DHAは海馬に多く含まれている
DHAが脳細胞を活性化する
・老人性痴呆症の克服に大きな期待
DHAで「脳血管型」は予防できる
DHAが脳細胞を柔らかくする
・子供の能力は母体のDHA量で決まる
受精直後からDHA補給が始まる
・視力が回復してきた!
DHAカプセルで老眼が治った
漁師にはメガネの利用者が少ない
〈コラム〉奄美大島に天才が多い理由
第4章 DHAのここが知りたい
・DHAの疑問なんでも「Q&A」
Q・DHAは魚の脂肪酸と聞きましたが、
たくさん食べても肥満する心配はないのですか?
Q・DHAが酸化して害になる危険性はありませんか?
それと体内での酸化も心配なのですが……。
Q・調理法によって、DHAの含有量が変わるのですか?
もし変わるのであれば、一番効果的な調理法を教えてください。
Q・魚が嫌いなのですが、魚以外の食品から、
DHAを摂取することはできないのですか?
Q・DHAは、どんな魚に多く含まれているのですか?
Q・魚やDHA食品は、1日にどれくらい食べれば効果的ですか?
また、食いだめはできますか?
Q・妊娠3カ月ですが、いまからでも胎児の脳の発達に、
DHAが脳細胞効果が期待できますか?
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