
赤ワインが体に良いらしいという話がいつ頃から一般に定着したのか、情報の発信源としては、掴みかねるところがあるのですが、赤ワインの研究を発表したのが一九九四年の秋ですので、早くも四年以上が経過したことになります。研究の成果は、一般の人々に利用されて初めて意味を持つものですから、様々なマスコミを通じて、赤ワインの抗酸化作用が報じられることは、私にとっても大変ありがたいことになります。ただ、昨今のように、ブームのような形で赤ワインの効能が伝わると、どうしても表面的なところにとどまって、本当のところの理解が希薄になりがちです。
赤ワインはあくまでもアルコール飲料ですから、アルコールの害を出さないで、赤ワインの良さを引き出すことが大切です。本小冊子が、赤ワインが体に良いと言われている理由を、簡単に知りたいと思っている人のお役に立てれば幸甚です。
目次
第1章 赤ワインのポリフェノール
お茶と赤ワインの渋い関係
天然の抗酸化物は優れもの
フレンチ・パラドックスの意味する事
ワインの歴史はブドウの歴史
〈コラム〉新潮文庫のロゴはなぜ葡萄?
第2章 強力な抗酸化作用に注目
静かに潜行する動脈硬化
悪玉コレステロールと活性酸素
実験に見る赤ワインの抗酸化能
第3章 動脈の劣化を防ぐ赤ワイン
抗酸化物が動脈硬化を予防する
食後の中性脂肪の増加を妨げる
もう一つの悪玉も低下させる
内皮細胞を介して血管を拡張させる
どんな赤ワインを飲めばいいのか
〈コラム〉ベートーヴェン、死の序曲?
第4章 広がる赤ワインの効能
血小板凝集を抑制する
老人の痴呆症予防になる?
赤ワインのガン予防に期待?
ワインの種類とブドウの産地
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