ガンに効く食物として一躍、脚光を浴びた明日葉。「きょう葉っぱを摘み取っても、明日にはもう芽を出す」とは少しオーバーな表現かもしれませんが、この強靭な生命力が明日葉の名前の由来です。
明日葉は、伊豆七島が原産地。なかでも八丈島が発祥地とされています。いつのころからか三宅島や伊豆大島などにも野性の明日葉が群生し、伊豆半島にまで群生地が広がりました。さらに湘南海岸付近や房総半島、四国・瀬戸内にまで勢力を拡大しています。じつに日本が原産の野草といえるでしょう。八丈島や大島、三宅島などを訪ねると、お年寄りの元気なのには驚かされます。都市と違い近所付き合いも頻繁で、車などは使わず、しっかりと脚で歩きます。店では生鮮食料品がちょっと高めですが、代わりに周りには新鮮な明日葉がたくさん自生していますから、これを摘んで、天ぷらやお浸しなどにして食べればいいのです。
明日葉の効能の証言として、八丈島の飢饉の話は有名です。時化で船便が到着しなくなり食物が極端に不足したとき、明日葉だけで飢えをしのぎ、餓死者をだすことなく乗り切ったのです。このことは、明日葉はカロリー的にはそれほどでもないのですが、栄養的にバランスがとれていることの証明にもなるでしょう。厚生省調査によれば、伊豆諸島の島民の成人病罹患率は、全国平均にくらべ低いとの結果です。温暖な気候と新鮮な魚介類、おいしい空気とのんびりした生活パターンがいいのですが、私は「明日葉が、元気の源のひとつだ」と確信しているくらいです。
有名な秦の始皇帝が、東海の島にあるといわれる「不老不死の薬草」を徐福という男を派遣して求めたといいます。それが明日葉だという話も眉唾とは思えません。伊豆大島・三原山の噴火後、溶岩を押しのけて真っ先に芽を出す強靭な生命力。小さな島から日本列島へと勢力を広げる繁殖力には驚くべきものがあります。
それでは、この驚異的な明日葉の秘密に迫ってみます。
目次
〈コラム〉明日葉とハマウドはどこが違う?
第一章 現代人と健康
本当の健康とは何でしょうか?
血液と血管が健康の命綱
ガンから生還した“明日葉博士”
第二章 明日葉の秘密の力(1)
植物性有機ゲルマニウムを含有
ゲルマニウムがガン退治を手助け
豊富に含まれるビタミンB群
脳の働きを活発にする
有効ミネラルがたっぷり
第三章 明日葉の秘密の力(2)
“緑の胃腸薬”葉緑素がいっぱい
葉緑素が血を増やし貧血解消
フラボノイドが血管を若返らせる
こんな病気によく効く野草
〈コラム〉マムシと明日葉
第四章 明日葉の利用法
寿命はだいたい三年くらい
若葉を食べてみよう
庭でベランダで育ててみよう
濃縮された明日葉製品の数々
船で飛行機で摘みに行こう
監修者
山之内 慎一(やまのうち しんいち)
医学博士
昭和4年東京生まれ。26年東京薬科大学、29年明治学院大学、36年日本獣医畜産大学卒業。漢方医学を杏林会をはじめ日本漢方医学研究所、千葉大学東洋医学研究会、日本漢方協議会などで学び、48年より藤門医林会で漢方古典を研究し現在にいたる。漢方専門薬局経営、日本東洋医学会元委員、日本漢方協会会長。主な著書に「よく効く漢方と民間療法」(永岡書店)、
「明日葉で奇蹟が起きた」(ハート出版)、
ふるさと文庫に
「自然治癒力を高めるあしたば」
「緑のエッセンス クマ笹の底力」
「ガン・老化に勝つ松葉の力」がある。
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